みなさんお久しぶりです。
時が経つのは早いもので「(株)柏屋」に入社してから二年が過ぎました。
棹も計五本を仕上げる事が出来ました。とはいえ、職人としての道のりはまだまだ遙かに長いものです。
これまで、「胴磨き」「中木作り」とお話してきました。今回の内容は棹作りの第二工程「天神(てんじん)作り」についてお話ししたいと思います。
天神とは三味線の先端部分で糸巻きの挿してある部分の名称です。写真①のように天神は荒木の段階ですでにカーブのついた形状をしています。
写真①で上になっているのが天神の裏側にあたります。
最初に、両端の角を鉋(かんな)で削り、のみと小刀を使って写真②のようにえぐるように削り、天神の厚みとカーブの形を整えます。
次に、糸倉の穴を開けます。 木の中だけを長方形にくりぬくために、対角線上に二ヵ所穴を開け、細い刃ののこぎりを使って穴から二本づつの切り込みを結ぶように入れてくりぬきます。 糸倉の穴の中はのみで削ってきれいに仕上げていきます。
続いて、写真③のように糸倉の両外を削ります。 穴から両外に同じ幅を残して印をつけ、糸倉の穴あけの要領で二ヵ所穴を開け、細い刃と普通の刃ののこぎりの二つを使い両外を台形に切り取りそれぞれの面をのみで仕上げます。
次は、天神の頭の部分を丸めます。
頭の部分は厚みが残っているため、鉋(かんな)を使い、丸みを持たせながら写真④のようなカーブに仕上げます。
続いて、天神の先端を半円状に削ります。この部分を月形(つきさき)と言います。
写真④のように四角く長く残っている部分をのこぎりで台形状に切り落としヤスリを使って写真⑤のような半円状になるよう削って丸めます。
最後に、天神表面にヤスリをかけて丸みを整え、写真⑥のように仕上げます。
「天神作り」の工程としてはこれで終了ですが、写真⑥の状態は完成形ではなく、この次の工程である「棹作り」の中で、天神の下半分乳袋(ちぶくろ)と呼ばれる部位を削り、磨く事で本当の仕上げになります。
この説明に関しては次回以降お話させて頂きたいと思います。
「棹作り」からの作業工程は多く、複雑なので数回に分けて説明していこうと考えています。